2013/06/21

尻の穴に指を入れられた話(前編)

もう、かれこれ5年くらい経つでしょうか。

「痔」との出会いは。

便器を真っ赤に染めたあの日からはじまり、
便器を真っ赤に染める今に至ります。


ある日の話です。
 
トイレの後、洗面所で手を洗ってリビングへ。
ポタ、ポタと音がするので洗面所へ戻る。
蛇口の締めが甘いのかと思ったが、蛇口からは水がでていない。
おかしいな、と思いリビングへ戻ろうとしたら。
リビングから洗面所までの道のりに、
点々と道しるべのような血の跡が。


 
これ…… 絶対尻の血ですやん。

最悪の道しるべです。 


"童話〜ヘンゼルとグレーテル"より抜粋
……ヘンゼルとグレーテルはマンションの一室で、
道に迷わないよう、尻から血をだして歩いて行く……


こうなると完全に奇行です。
本当は怖いグリム童話よりも怖いです。チデーテルです。


そんな私は、
尻から血を垂らして歩いているということを理解できないでいました。
いや、理解したくなかった。

気を取り直し、改めて確認、

 
it's myself.


ポタポタしてたん自分の尻からだったー!
自分が犯人なのに自分だとは全く思っていない、
尻のファイトクラブ現象だーーー!!
ブラッド、ピューーーット!! 
ズッコー!!ってなりました。


まあとにかく、血がでる。
次第に、だらだらと、ぽたぽたと血が出ることが
そんな珍しいことでは無くなっていきました。



そんな日が続いたとある日。

実家にて、母親に痔の相談をしてみることにしました。


私:最近、痔で尻から出血がひどいんだよね。
 カミングアウトです。

母:大丈夫?
心配してくれています。

私:いや、けっこうやばい。もう血液が足りなくて困っちゃう。
 恥ずかしい話題なので、小ボケを入れています。
 
母;困ったね。…………あ、これ使う? 
何か棚からゴソゴソしています。


そして、 母は私にナプキ…
「いらない!!!!」


超速で断りました。
食い気味の、キレ気味に断りました。


その昼用も、その夜用も
俺用ではない。

そのギャザーは、
俺のために作られたギャザーではなく、
俺を包みこむギャザーであってはいけない。

男として…履けるもんか……

そんなことくらい…… わかるだろ? オカン…

 

その気持が一瞬で出た一言でした。

でも、さすがにまずい、

どうしよう…

どうしたらいいんだ……



そうだ、

 
肛門科へ行こう。


どこかのJRのコピーみたいに、そう思いました。

絶不調で診察されたい。

やばい… これはやばい…
さすがに病院に行かざるを得ないほどやばい…

と、激しく体調不良の末、病院へ行ったものの、待合室で症状が落ち着いてきたときの複雑な気持ちは何なんでしょう。
体調が良くなってきたのはとても喜ばしいことだけど、今じゃない。今良くなっちゃうと、いいけど、良くない。やばさが足りない。

ちょっと余裕ある感じで診察受けて「お前病気のハードル低いな。」とか「冷やかし?」とか思われたらどうしよう。「とりあえず薬だしとくから」みたいな、おざなりプレイをされて、おざなりな処方箋を出されたらどうしよう。
「さっきまでものすごくしんどくて…」「今は落ち着いて来たんですけど…」と、ぼく結構やばかったんですアピールをした所で緊迫感にかける。臨場感がない。先生、ニコニコしてる。

だから、先生には絶不調の自分を診てもらいたい。一番最悪な自分を診てもらいたい。喉元まで立ち昇るゲロが今にも飛び出してきそうな、尋常じゃない汗染みでグレーのTシャツが黒いTシャツに見えるような、聴診器をあてたら鼓動が激しすぎて先生の鼓膜が破れるような、そんな、絶不調のタイミングで診てもらいたい。
先生、少し焦ってる。動揺してる。カルテのフランス語のスペル間違えちゃってる。白衣にハンガーつけたまま着ちゃってる。先生、200BPMの曲に縦ノリしてる。そのくらいのテンションで診てもらいたい。こいつはやばい。上物のヤクが必要だ。イイ処方箋を出そう。そう思われたい。

なのに、待ってる間に何故か元気になってきちゃったもんだから、少し体調悪い感を水増しして診察を受けなければならない。悶々としてしまう。元々体調悪いのに、体調悪いフリをするというパラドックス。やるせない。

パラドックスの意味はよくわからないけど。
w-indsが曲のタイトルにしてるくらいだからきっと使ったらモテるワードだと思う。




服、ダボダボ。